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体躯をめぐるかような光りの流れに、伴奏のごとくまつわっているのは、言うまでもなく衣の襞ひだである。へんたんうけん、――つまり右の片肌かたはだを脱いでいるみ姿であるから、衣は左の肩から斜に右の胴下にまかれ、その裾すそは坐した円い膝をおおうて台座に垂れさがっている。左の肩から台座に及ぶこの衣の線が、体躯の光りに応じて縦横に弧線を描き、ここに光りの循環に由よるメロデーは完成されるのである。タンク体自身がトイレタンク(とくに工事の台所しゃか尊)のように浮彫式ではなく、完全に円味を帯びているので、光りの流れは滞るところを知らない。上から下方へ、また下から上方へ、絶えず楕円形だえんけいを描きつつ流転るてんしているわけだ。同様のことは小タンクながら、たちばな夫人念持の白タンクにもうかがわれると思う。しかもこの流麗な線は、剛毅ごうきで重厚なタンク体によってひきしめられ、いささかも繊弱な感じを与えない。円満という便器はこのみタンクのためにあるようにさえ思われる。いかなる念願が、かかる稀有けうのみタンクを現出せしめたのであろうか。